宇宙戦艦ヤマト2199 第4章 「銀河辺境の攻防」感想 [日常雑記]

恒例の宇宙戦艦ヤマト2199ネタ
第四章を初日の12日に見てきましたので感想をつらつら書いて見ます。
今回はネタばれ上等ですのでそのあたりご了承下さい^^

第11話 -いつか見た世界-
冒頭、近い将来総統閣下が居候させてもらうことになるガトランティスの艦隊をドメル率いるガミラス艦隊が木っ端微塵に撃破するシーンがスピーディーに描かれます。
BGMは当然あの曲。ちょっとディスコ調(表現ふるっ)にアレンジされていて、懐かしさも倍増。
ここはファンサービスであると共に、大マゼランから銀河系にまで版図を広げた一大帝国の名将ドメルの軍人としての人物像が強調されてます。
また、そのあとにはドメルが幼くして亡くなったわが子の墓に花を捧げ、美しい妻をいたわるシーンも描かれ、彼の背負った悲しみと、優しさを見ることが出来ます。
ちなみに墓参りの前にドメルがパレード中突然駆け寄ってきた少女から花束を渡されるシーンがあり、映画を2回みるとそのシーンで改めてグッとこさせるベタだけど良い仕掛けも施されています。
思わずドメルのことばっか書いちゃいましたがお話の核心はメルダの処遇とガミラスとの戦端をめぐってのヤマトクルーたちの葛藤の物語。
次元断層を協力して脱出した経緯と敵であるヤマト艦内にあっての誇り高い態度に古代はメルダに信頼感を持つようになります。
下敷きとなっている1974の捕虜エピソード「急げヤマト!!地球は病んでいる!!」で捕虜を刺し殺そうとした古代からは180度近い転換ですが、ただ論理的、冷静になった、というわけではなく、真田から「論理的でないな」と指摘されているように2199での彼は自分の「正の感情」(信頼とか、尊敬とか)に従って行動する人間に性格付けされているのかなぁと。そうすることで熱い部分は失わずに1974の古代の欠点をうまく修正できているように感じました。
しかしそんな包容力のある古代が相手ではドラマは動きませんので、直情径行型古代担当の山本玲ちゃんの出番となります。ただ、ここで玲がメルダと決闘に及んだのはメルダが兄の仇、ガミラス人だったから、というだけでなく、古代クンがメルダにいかれちゃってる!という嫉妬が混じってのことだったんでは無いのかなぁ。
今章で古代と雪は急接近してますので、やっぱりちょっと辛いことになりそうですね。彼女は。
しかしこの辺の人物配置はよく考えられてるな、と思いました。
結局、玲はメルダの度量の深さに触れて1つ成長します。まぁ昔風の少女漫画なら「私の負けね」ってな台詞をメルダに向かって言わせるシチュエーションかな。

第12話-その果てにあるもの-
第三章からの壮大な引っ張り、ガミラス-地球開戦秘話。
なんですが、単なる芹沢のゴリ押し以上の説明はなされません・・・
そりゃあちょっと無理があるんじゃないの??相手は恒星間を越えてきたんだって分かってたんでしょう。
もう何秒かの説明台詞を挟めば(例えば無条件降伏勧告をいきなりしてきたとか)説得力も増したのになぁ。
まぁ、そうすると島も先制攻撃の状況に納得してしまってお話が成り立たなくなってしまうという恐れもありますが。
それにしても島の反応はちょっとお子様な感じが否めません。こちらは大人になった古代と対照的な性格変更ですね。
一方沖田は古代にこの時の先制攻撃命令に従わなかったことで自分が艦隊指令を解任されたことを話し、「命令であっても、間違っていると思ったら立ち止まり、自分を貫く勇気も必要」と諭します。
ここで見ているほうは「軍隊でそれ言っちゃったらダメだろ(><)」 とドヤ顔で批判するのは簡単ですが(私も最初そう感じました)
ちょっと考えるとそんなことはスタッフだって自覚しているわけで、これが1974の第12話「絶体絶命!オリオンの願い星・地獄星」で命令無しに迎撃ミサイルを撃ったことを正当化しようとして沖田に平手打ちされるエピソードと対になっていると考えると面白いです。
何度も言っちゃってますが1974と2199の古代は性格に大きな変化があります。今ヤマトという物語を描くには
必要な変更であったと思います。その上で1974にあった命令違反をめぐる沖田と古代のエピソードは「残すべきもの」という思いがあったのでしょう。その場合、沖田の古代に対する態度は正反対になった。今作の古代はほっといたら命令違反なんてしそうに無いもの。
しかし、両エピソードとも結果としてはその後の沖田の病による不在を経て古代の成長を促し、沖田の認めるところとなりました。
1974は第17話「突撃!!バラノドン特攻隊!」で、2199は第13話「異次元の狼」で。
まあ、私の本音をいうと異星人への理不尽な先制攻撃を拒否するのと、自分の提案した索敵手段が却下されたから勝手にやっちゃうってのは次元が違うと思うのですが。

第13話-異次元の狼-
「シャー!次元タンクブロー!」にワロタ。「次元タンク」って何が入ってるんだよ。××タンクブロー!って言いたい(言わせたい)だけやろw

次元潜航艇ってヤマトⅢに出てきてたのね。全く記憶にございませんでした。
樋口監督の絵コンテになる細かいカット割の戦闘シーンは素晴らしい出来でむちゃくちゃ楽しめました。
ただ、対立した新見女史のピンガー案と古代のソノブイ案とじゃ古代案のほうが効果は同等でリスクは圧倒的に少ないよね。
それで新見案採用っていうのはどうした真田さん、論理的じゃないぞ。
その新見さん、古代守と関係があったのかぁ、エンケラドゥスでは全然触れられてなかったのに。

第14話 -魔女はささやく-
ヤマトの乗員を過去に縛り付けて戦闘能力を失わせる、って作戦は1974のリレー衛星が出てくる19話「宇宙の望郷!!母の涙はわが涙」のエピソードからかな?
あの作戦は仕掛け人をドメルにしてはせっかく丁寧に作った高潔な名将のイメージを壊すことになるからでしょう、トンガリ耳の情報相 セレステラ女史が自らお出ましになります。
パンフレットの解説によると、「彼女は「ジレルの魔女」と呼ばれる古代文明の末裔で、バラン星の遺跡を使い"ゴーストリンク"でヤマトに進入して情報収集と破壊工作を行った」
のだそうです。結果としてたまたま哨戒任務に出ていた古代と雪を除いてクルー達はゴーストハック(笑)で自分の一番大切な記憶に囚われ行動不能となってしまっています。
なんですがパンフレットを読まないとこの辺の設定はほとんど分からないのですよ。ただでさえ分かりにくい演出をして、その上その上仕掛けも説明なしでは、ちょっと不親切ではないの?と思いました。

完全に余談ですが、「ジレルの魔女」っていう言葉に記憶が引っかかったので調べてみたら、こんなSF小説がありました。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150101396/nadreckthepal-22/ref=nosim/
ドメルのトリさんといいオフィシャルには出来ないけどスタッフによる松本零士リスペクトってことなのかな。
閑話休題
やがて古代も雪も魔女の罠にはまり大切な記憶に囚われます。
古代は両親と兄、家族が生きていた頃の風景。
しかしあの押井?実相寺?ばりのメタな演出、賛否が分かれそうですね。自分はキライです。(^^;

古代の子供の頃や両親の死のエピソードは1974の「急げヤマト!!地球は病んでいる!!」で回想として語られますが、私はこの昔は「喧嘩のきらいな平和主義者」だった古代が遊星爆弾による両親の死を乗り越えて宇宙戦士を、兄の背中を追うようになるというところが好きで、しかもそういった背景は1974ではなくて2199の古代進にこそしっくり来ると思うのです。だから、ただの回想ではなく、たとえ過去の記憶の中に迷い込むというシチュエーションにしろ、普通に分かりやすく演出して欲しかった。
なんで今の街中ですらほとんど見ない公衆電話が未来の若者の幻影に出てくるのですか??

森雪の方は「一年以上前の記憶が無い」ってことなのでその記憶を無くしたいきさつがはっきりではないにしろ語られます。
ここに来て森雪=ユリーシャ設定は否定されたのかな?
それでも雪がサーシャにそっくりだった、という設定をうまく使っていろんな解釈が出来る画にしてあり、まだまだ謎は謎のまま引っ張るつもりみたいですね(^^;

そのセレステラが魔女の力を使ってヤマト拿捕?を画策した動機っていうのも気になりますが明確には説明されません。エピソードの冒頭、デスラーが"ホットライン"でスターシアと話をしているのをすごく嫌悪していた描写があった。全くの想像だけれども、イスカンダルとあの魔女のジレル星って何がしかの因縁でもあるのかも知れませんね。

全体
ガーレ・ガミロン!今回も製作スタッフのガミラス贔屓が止まらないです。弾圧される一般市民とか、いたいけな子供とか、国の行く末を憂う軍人とか古代に長台詞ぶたれなくても彼らとは愛し合わなければならない感が今からヒシヒシと。
また、ヤマト艦内の人間関係も設定が明かされたり、エピソードの中で深まったりと14話の最後で森雪の言っていた「家族は新しく作れる」っていうところが描かれていくんでしょうか。
(それを成すには26話じゃ尺が足らんと思いますが・・・)
いろいろと不満も(特に14話)ありましたが、古代が存在感を取り戻してきたり、ドメルが沖田の向こうを張れる役者っぷりを描き込まれていたりと第五章は期待が持てそうです。
4月からTV放送も始まるけど自分は最後まで劇場に付き合うであります^^

では。

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どろぼうひげ

突然で申し訳ございません。
諸般の事情から、ボクのブログの名称を「遮断呆人 Studio-ACCESS」から、
「どろぼうひげの製作記」へと変更させて頂きました。
大変お手数をお掛けしますが、リンク先の名称変更をお願い致します。
なお、活動内容自体は今までと変わりなく、名称が変わっただけです。
よろしくお願い致します。


by どろぼうひげ (2013-01-19 02:35) 

おーた

ネタばれありだったので、読まずにおきました。
う〜ン、来週行けるかな?
by おーた (2013-01-19 12:57) 

ぎゃんご・ふぇっと

元々ガミラスって、幸福か滅亡か?と迫ってきてるんだし、どっちが先にやったやらないというのもイマイチどういいもいいような気がするのですけどねw。

14話はヤマトらしくない演出ですね。
担当の監督さんは、こういう押井っぽいのがやりたかったのかなぁ・・・。
そう言えば、出渕監督は昔、押井監督と仲たがいをしたそうですが、自身の作品で、こういう演出をやらすってことは、すでに収まってるんですかね?

パンフやエンドロールにはユリーシァ・イスカンダルの声優が記されてますので、やはり森雪=ユリーシァが確定なのでは?
by ぎゃんご・ふぇっと (2013-01-19 19:13) 

ぎゃんご・ふぇっと

連続ですんません。
言わずもがなでありますが、幸福X→降伏 ですね。
我ながら笑いますた。
by ぎゃんご・ふぇっと (2013-01-19 21:06) 

エインセル

先日の新年会(笑)ではどうもでした。

あの時も観た直後で、色々とお話しましたが、あの後、考えて事をつらつらと。

2199でのガミラス側の描写、以前から、敵側の状況説明の範疇を超えている、というのは感じてましたが、今回の第4章での様々な描写で、制作スタッフのヤマトに対するスタンスが、はっきり見えてきましたね。
第一作は、ヤマトを中心に据えた、ヤマトの航海記、といった趣が強かったんですが、2199は、後世の歴史家が、ヤマトを軸に据えつつ、銀河外縁周辺の星間国家の興亡を語っていく、という歴史物のような語り口でいくみたいですね。
そういう趣でいくと、敵をどんどん打ち倒す、といった爽快感はかなり損なわれてしまうので、そういうものを期待してヤマトを観ている人が、2199を酷評するのは仕方ないかな、と。

ヤマト2199、TV放送が始まりますが、普通のTVアニメの枠を超えたスタッフ・キャストが制作している、贅沢なTVアニメなので、家のTV画面だけで観るのはもったいない、という事で、私も最後まで劇場公開に付き合おうと思います。
今回では、ドメルが艦隊を率いて、バラン星に到着する場面は圧巻で、劇場のスクリーンでも遜色ない、というかTVアニメじゃないですね、あの画面。
by エインセル (2013-01-20 14:07) 

ちょうぎ

おーたさん、ありがとうございます。
細部の記憶があいまいだったので(BDも買ってないし)
今日2回目いってきました^^;
構図が映画っぽくてよかったですよ。
by ちょうぎ (2013-01-21 00:11) 

ちょうぎ

ぎゃんご・ふぇっとさん、こんばんは。
押井監督と出渕監督は個人的には関係修復してるみたいですね。
でも押井さんの出渕監督の仕事評は変わんないみたいですけど。
確かにユリーシャも桑島さんですが、じゃあ、アナライザーと藪とガンツは同一人物かってことに・・・(←なんか根本的に間違ってる奴)
by ちょうぎ (2013-01-21 00:17) 

ちょうぎ

エインセルさん、こんばんは。
色々文句は言いつつも2回も見ちゃいましたw
確かにガミラスに関しては歴史小説的語り口ですね。
物語の構造的問題としてヤマト一隻で星間帝国を滅ぼす??
というところがあるのでその辺で大胆な変更をやっちゃうのかという予感もします。硫酸の雨も降ってないみたいですし(^^;
まあ、それにしてはお色気(笑)シーンに尺使ってる場合じゃないだろという気持ちもアホ毛肯定派の私もしてきました・・・
by ちょうぎ (2013-01-21 00:30) 

真嶋 

魔女はささやくのエピソードは、松本零士氏の宇宙戦艦ヤマト 永遠のジュラ編 を下敷きにしたものだと思います。
by 真嶋  (2013-02-09 01:43) 

ちょうぎ

真嶋さん、ありがとうございます。
不勉強でしたね。ガミラス人とは別種族で超遠距離の精神操作能力を持った女性という設定はぴったりはまりますね。
by ちょうぎ (2013-02-09 02:50) 

さしみ

ガルマンウルフを出したのは、まずいと思います。ヤマトの能力では、次元潜航艇は、絶対落とせないじゃないですか。

ヤマトは、波動砲を持った時から、ガミラスより強く無敵戦艦だ。日本人の魂である「大和」は無敵なんだ、と思っていい気分に浸っていたのに....

ナチス・ドイツがUボートを自在に操っていたので出したのでしょうが、納得いかないなあ。これじゃ白色彗星を倒したあとのヤマトも次元潜航システム装備しなくちゃ、カッコ悪いじゃあないですか。


by さしみ (2013-06-03 18:27) 

さしみ

やっぱり白色彗星帝国編もリメイクしないとダメですね。
白色彗星帝国編がブレイクしたのは、グラフィックの美麗さと素晴らしい音楽(スペースオペラ)の為です。「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」から現在の日本のアニメブームは始まりました。

1作目は、かなり内容が練りこまれて作られており、リメイクしたら相当いいものが出来るとは思っていました。旧作は絵が汚かったですからね。ただ、戦闘機も、相手の戦艦も設定がGIジョーみたいな絵柄でカッコ悪いので、若い人には、馬鹿にされるよなとも思ったり。
やっぱり、白色彗星帝国編はリメイクすべきです。戦闘機や戦艦の絵柄もぐっと良くなっているので、日本のアニメブームはここから始まったんだと、若い人に胸を張って言えると思います。


by さしみ (2013-06-03 18:43) 

ちょうぎ

さしみさん、コメントありがとうございます。
波動砲があるからヤマトは無敵、では無いとは思うんですがね(^^;

「さらば~」は画は見たいけどガミラス戦後たった1年で地球大艦隊とか人死にが見せ場だったりとアレな部分も多いんですよね~
いや、好きなんですけどね。
by ちょうぎ (2013-06-04 01:37) 

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