宇宙戦艦ヤマト2199 第6章 「到達!大マゼラン」感想Part1 [宇宙戦艦ヤマト2199]

宇宙戦艦ヤマト2199の劇場公開も全7章のうちもう6章。劇中のヤマトクルーと同じく「ここまで来たんだ」という気持ちにさせられたり。そんなわけで少し遅くなりましたが感想を書いてみます。
もちろん今回もネタバレ御免ですので、未見の方はご注意ください(*^_^*)
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第19話「彼らは来た」
冒頭、次元潜航艇のブリッジからガミラス本星を見つつデスラーはつぶやきます。
「この星にしがみついて何になる」
遷都計画のことでしょうか、しかし1974のようにガミラス本星が寿命を迎えている様子もなく、何のために遷都を行うのか、何処に遷すのかは謎のまま。

総統暗殺の嫌疑も晴れ釈放されたドメルも含めての御前会議、亜空間ゲートネットワークのハブステーションであったバラン星崩壊により、基幹艦隊3000隻はガミラス本星から90日の彼方に置き去りになっていることが明らかにされます。疾風ウォルフなら1ヵ月は縮めそうですが(^^;
余談ですがこの90日とか3ヶ月って言うのは地球の単位に翻訳されているのですよね?
最初の方ではズピストとかプラードとか天体にガミラス語の固有名詞が出てきてたのにいつの間にか大マゼランとか天体の固有名詞も地球のそれに翻訳されていることに少し違和感を感じます。
あらためてヤマト討伐の命を総統自ら下されたドメルではありますが、与えられた戦力は旗艦ドメラーズIIIの他には空母が4隻のみ。
兵士達も老人と子供ばかりという編成。首都防衛艦隊はあの親衛隊が牛耳っていて、国軍の将であるドメルには総統勅命といえ戦力は預けられないということのようです。
また、デスラーは「エルク、君にはもう一つ頼みがある」とファーストネームを呼び、もう一つの任務を託します。それはヤマト乗っているユリーシャ・イスカンダルの拉致。14話「魔女はささやく」はこの伏線になってたのですね。
その任務を実行するために選ばれたのがザルツ星義勇兵第442特殊小隊の4人。前章の343空のソード3と同じくヤマト2199ではこういう名称には必ず意図があるのですが、調べてみると442部隊の元ネタはアメリカ陸軍第442連隊戦闘団、第二次大戦のヨーロッパ戦線において最も勇敢に戦ったという、「日系人」で編成された部隊でした。
交戦国日本にルーツを持つ彼らは祖国アメリカへの忠誠心を示すため危険を顧みず戦い、武勲と同時に損耗も激しかったことで有名です。
ガミラスの中で2等国民と見下される存在のザルツ人がその忠誠心を示すため、危険な任務を行う「特殊部隊」を自ら志願する「義勇兵」部隊の名前として見事に符合しますね。
それでも被占領国民ということで不信の目を向けるガミラス人に対して、彼らが祖国ガミラスへの忠誠の証として国歌「永遠に讃えよわが光り」歌いはじめ、やがて部隊全体の団結を象徴するような合唱になっていくシーンは胸を打ちます。
第1話でのゆきかぜのクルーが「銀河航路」を歌いつつ絶望的な戦いに身を投じていくシーンとの対比していると考えると感慨深いです。
そう、ここにきてガミラス対ヤマト(地球)の立場は逆転したといえるでしょう。
物語の初め、遊星爆弾によって故郷を焦土と化され、圧倒的な戦力の前に敗れ去る地球は太平洋戦争末期の日本の姿と重なります。そして今章で描かれる7色星団の戦いはパンフレットの序文に氷川竜介氏が書かれていたように、太平洋戦争でのミッドウェー海戦を下敷きにしており、空母4隻を擁するドメル機動部隊もちろん日本を象徴しています。史実と同じく、この戦いがターニングポイントとなるのでしょうか(知ってるくせに白々しいw)

ヤマトでは岬に憑依したユリーシャと沖田との会談が行われます。
ユーリーシャ曰く、「波動エネルギーは星々を渡るためのもの。武器にしてはいけない」と。
そして沖田は波動砲は身を守るためのものと主張します。
艦長室にある「罪と罰」は目的のためなら手段は正当化されるのか?。というこの命題を表しているのですね。
また沖田はイスカンダルが困難な旅をヤマトに課すのは我々が救うに足る存在であるかの試練と理解しており、全てを見届けて判断してほしいと語ります。
オーバーロードですねえ。指が7本あったりしてね。
1974でも同様のことはスターシアから語られてたけど、自由や尊厳は勝ち取るもの、というのはそのとおりだとして、その過程で双方にたくさんの犠牲が払われているんだよね。
イスカンダルのやり方もやっぱり目的による過程の正当化という側面があるんじゃね~の?

そして沖田はヤマトの進路を宇宙の難所、七色星団へ向けます。理由は語ってたけど、結局ヤマトは1隻きりなわけで、必ず数に優る敵を破るには利用できる地勢的要素が不可欠なので選んだってことかな。結果論だけど。

そして名将は名将を知る。の諺どおりドメルもまた艦隊を七色星団へ。
3隻の多段空母、戦闘空母、ドメラーズⅢの5隻が単縦陣を組んで進発していくシーンは奥行きがあって映画館の第スクリーンに映える構図でしびれます。2199のレイアウトはすごく劇場を意識して作られているように感じます。

大荒れの七色星団宙域で猟犬フラーケンの次元潜航艇に発見されるヤマト。ドメルはまずグリーンの第一空母バルグレイより戦闘機隊を発進させます。
劇中では1カットだけなのでちょっとわかりにくいのですが、バルグレイはまず本隊から先行しした位置で戦闘機隊を発進させています。
本隊の位置をつかませず、且つヤマト艦載機を引きずり出すための作戦行動ですね。
まあ、そうして孤立しているために最初にコスモファルコン隊に沈められるわけですが。
ガミラス戦闘機の接近を察知したヤマトもコスモファルコンを発艦。
再び相見える沖田とドメル。2199のドメルはケツアゴが控えめですが、ここでの虚空を超えてにらみ合うシーンでのドメルは1974でのタイガープロまんまの作画が大迫力なのであります。
デスラーの独白から始まって、ガミラス国歌や、艦隊の発進の動のシーンとヤマトのカップル達や失われた家族の写真を見つめる両雄の静のシーンがうねるように連なる構成が素晴らしいエピソードでした。

第20話「七色の陽のもとに」
いよいよ決戦の時、めまぐるしいので時系列に各シーンで思ったことを。
【戦闘機隊の空中戦】
雲がたなびく7色星団(笑)で遭遇する両軍の戦闘機隊。
加藤隊長の「命落とすな敵落とせ」の号令でバンクしつつ(宇宙なのに)敵に襲い
掛かるファルコンが文句なしにかっこいい。
やっと活躍の場が来た航空隊、もう南部に文句は言わせない。
ただ、散っていくパイロット達の印象が少し薄い。これまで目立たなかった隊員ばかりがターゲットになっているようで、唐突な感じが否めません。
【急降下爆撃機スヌーカ】
ファルコン隊がおびき出されたところで、チート秘密兵器「物質転送機」により登場。実体化するときのキュイーンって効果音が昔のまんまで嬉しいです。レーダーを破壊して次の作戦につなげる描写もよく出来てます。
【ドリルミサイル】
ここもBGMと効果音が昔のまんまで嬉しくなったポイント。そして2199での処理担当は新見女史+アナライザーコンビ。
営倉から出るときの新見さんの姿は日曜夕方に放送できるギリギリかもしれないエロさであります(^^)
元々兵器じゃなくて民生品だからメンテハッチから易々と進入できた、という追加設定は自然ですごく良いですね。閉じとかないのはドメルの落ち度でもありますが。(^^;
【森雪の拉致】
”ザルツ人(シュルツとゲール)の肌が地球人と同じ色”、”森雪とユリーシャ(サーシア)が瓜二つ”、という事実は、旧作においてはほとんどどうでもいい事柄でした。それを2199では前者はガミラス側の勢力やキャラクターに深みを与える設定とし、後者は物語を引っ張る謎のタネとして上手く昇華させていました。
しかし、ここに来てまさかその1974へのオマージュ的な要素を、逆に大きく1974のストーリーから飛び出してみせる道具立てに使うとは・・・やられた!って感じです。
ユリーシャと間違えられ次元潜航艇で連れ去られようとする雪を追って、古代がコスモゼロで第一格納庫から強引に発進するシーンは短いけれど屈指のメカ描写シーンです。これだけでごはん3杯いけます。
今回の古代は「ゆきぃーー!」と叫ぶだけの簡単なお仕事。あと壁ドン!ね。

しかし惜しいのはこの森雪拉致のパートが間に挟まってしまったためにドリルミサイルの印象が散漫になってしまったこと。
1974ではドリルミサイルがどんどんヤマト内部に入ってきて、切り札の波動砲も撃てないジレンマとこんなのが内部で爆発したら・・・という恐怖感に物語の焦点が当たってたから強い印象を残してるんですよね。
【雷撃機の襲来】
ヤマトの喫水線あたりに魚雷(ミサイルだけど)が水しぶきを上げる演出は理屈は別にして面白かったです。
ただここも波状攻撃を受け続け、さしものヤマトももう駄目かも!という絶望的な危機感が足りなかったような・・・
そのためかコスモファルコン隊が漸く帰還して雷撃機を蹴散らすカタルシスも今ひとつ感じられませんでした。チョイ不満。
【逆転劇】
しかし波動防壁無しでも爆撃機と雷撃機の大編隊の攻撃を耐え抜くとは、あいかわらずハンパ無いタフさのヤマト。ドリルミサイルを反転させて艦隊戦を挑んできたドメル艦隊にぶつけるのは1974と同じですが、ドメル艦隊が単に避け損なって自滅したのではなく、砲雷長 南部の狙撃による誘爆で戦闘空母と第3空母を斃しており、より沖田のねらいが明確に描写されています。
【ドメルの最後】
機動部隊を失い、旗艦ドメラーズIIIとヤマトの一騎打ちとなります。普通に考えればあちこち損傷しているヤマトと無傷の超ド級戦艦ですからまだドメルに分がありそうですが、沖田は7色星団の地勢(イオン乱流)を利用した罠にドメルを誘い込みました。
行動不能のドメラーズIIIを捨て、艦橋部のみで自爆による最後の戦いに臨むドメル。部下に総員退艦を命じますが、当然誰もその場を去ろうとはしないのでした(;;)
ドメルと沖田、最初で最後の会談。お互いの能力を認め合う2人、そして勝敗が決した以上、これ以上の戦いをのぞまないと説得する沖田に、ドメルは「ここで引けば死んで行った部下達は無駄死にになる」と己の信念を貫きます。余談ですが1974では「この戦いにはガミラスの命運がかかっている・・・」という表現になっています。幾分「個」の方によっているのはガミラス側に描かれた色々な事情を反映しているんでしょうねぇ。
自爆して砕け散るドメル。しかし間一髪で真田により波動防壁の修理と展開が間に合い、艦底に大穴どころか第三艦橋も原型をとどめているという軽微な?被害でに終わるのでした。嗚呼。

全く新しい雪の拉致というエピソードを入れた上で、1974と同じく2話で描ききった7色星団の戦い。まさに息つかせない展開と迫力の戦闘シーンに大満足・・・ではあるのですが、ドメルのとった作戦行動のわかりやすい描写とか、個性的なドメルの部下たちにももうちょっとスポットを当てて欲しいとか、やっぱりもうちょっと尺を使って見たかったな、という思いがあるのも確かです。

ということで雪がいなくなり、ユリーシャが覚醒するという、ヤマトをめぐる「状況」が旧作とは決定的に異なってしまい、物語は未知の領域に入っていくのですね。
では、感想Part2に続きます(^^)/
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さしみ

大河「八重の桜」を見て初めて分かりました。
何故、ヤマトクルーの制服が、会津藩お抱えの「新撰組」に似ているのかを。

地球は、会津藩なんですね。そしてヤマトクルーは、会津藩お抱えの「新撰組」な訳です。さらに、航空隊は、「白虎隊」な訳です。でも、さすがに「ホワイトタイガー隊」とは名づけられなかった様で、「ブラックタイガー隊」とか「コスモタイガー」とかにしたんですね。やっと分かった。

だから、沖田艦長は、藩に忠誠を誓い、死に場所を求めて彷徨う訳です。特攻(殉死)したがる訳です。「戦場で華々しく散る」というのが美学な訳です.....


あと、関係者の皆さんに要望があるんですけど、youtubeで「さらば宇宙船間ヤマト 愛の戦士たち」のラストシーンの「古代が沖田艦長の幻と話す」シーンが無いのでUPして欲しいです。区切りがいいので、古代が「違う、断じて違う。」と叫ぶ所から始まってもらうと良いと思います。

沖田艦長が「お前にはまだ命が残っているじゃないか
。なあ古代。人間の命だけが邪悪な暴力に立ち向かえる最後の武器なのだ。」というシーンは泣けます。

by さしみ (2013-08-21 15:06) 

さしみ

追記です。
「さらば~」のシーンは、
「違う、断じて違う。お前は間違っている。」から、救命艇に古代が敬礼するシーンまでをUPしてほしいですね。

死んだ雪に古代が語りかけるシーンは沢山UPされているのでUPしなくていいです。関係者の皆さん、よろしくお願いします。


あと、8/21の自分が書いたコメントですが、地球は、会津藩じゃなくて幕府ですかね。だから、ヤマトが会津藩とか鶴ヶ城といったところでしょうか。


あと、昔、話題になったと思うんですが、ブラックタイガー隊をコスモタイガー隊に変更したのは、ブラックタイガーという種類の海老があったからだとも(笑)。


by さしみ (2013-08-23 13:58) 

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